今や美容系のCMや女性誌でも頻繁に見聞きするようになった「幹細胞」とうワード。エイジングケアに関する情報には必ずと言っていいほどよく目にします。
では、そもそも幹細胞とはどういったものなのでしょうか?
私たちは、「皮膚」や「血液」といった、いわば一つ一つの寿命が短い細胞を持っているのですが、「失われた細胞を再び生み出して、補充する能力を持った細胞」という細胞も持っています。
例えば組織がケガをしたり、ダメージを受けたりしたときは、失われた組織を補充する能力を持った細胞が必要となります。こうした補充能力を持つ細胞を「幹細胞」と呼びます。
幹細胞が持つ5つの特徴
[1]分裂して自分と同じ細胞を作る能力
幹細胞は、分裂するたびに自分と同じ幹細胞を残すことができます。これにより、幹細胞の数を維持したり、必要に応じて増やしたりすることができます。
[2]別の種類の細胞に分化する能力
幹細胞は、特定の条件や刺激によって、肝臓細胞や神経細胞など、さまざまな種類の細胞に変化することができます。これにより、細胞の損傷や老化を補ったり、新しい組織や器官を作ったりすることができます。
[3]分化能力の違いによる分類
幹細胞は、分化できる細胞の種類によって、全能性幹細胞、多能性幹細胞、多分化能幹細胞、単分化能幹細胞などに分類されます。全能性幹細胞は、受精卵などの一個体を形成するすべての細胞に分化できます。多能性幹細胞は、胚性幹細胞などの一個体を形成する細胞に分化できますが、胎盤などの胚体外組織には分化できません。多分化能幹細胞は、造血幹細胞などの特定の細胞系列に属する細胞に分化できます。単分化能幹細胞は、筋幹細胞などの一種類の細胞にしか分化できません。
[4]ヒト由来の幹細胞
ヒトの体内には、さまざまな幹細胞が存在します。例えば、胚性幹細胞は、受精卵から発生する多能性の幹細胞です。成体幹細胞は、骨髄や肝臓などの各組織に存在する多分化能や単分化能の幹細胞です。がん幹細胞は、がん細胞の中に存在する幹細胞で、がんの増殖や転移に関与しています。脱分化細胞は、体細胞を分化能の高い細胞に戻すことで作られる幹細胞で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)などがあります。
[5]再生医療への応用
幹細胞は、損傷した組織や器官を修復したり、新たに作り出したりすることで、さまざまな病気や怪我を治療する可能性を持っています。これを再生医療と呼びます。例えば、造血幹細胞移植は、白血病や再生不良性貧血などの血液疾患の治療に用いられています。脂肪幹細胞移植は、糖尿病や心筋梗塞などの代謝性疾患や心血管疾患の治療に用いられています。iPS細胞は、パーキンソン病や難病などの疾患モデルの作成や、臓器不足の解消に用いられる可能性があります。
以上が、幹細胞についての5つの特徴です。幹細胞は、自己複製能と分化能を持つ細胞で、分化能力の違いによって分類されます。ヒト由来の幹細胞は、さまざまな組織や器官に存在し、再生医療において有望な細胞として注目されています。