エクソソームとは、細胞から分泌される小さな小胞で、細胞間の情報伝達に重要な役割を果たしています。構造、生合成、分布、機能、応用の5つの項目に分けて理解することができます。
▼構造
エクソソームは、直径50-150 nmの顆粒状の小器官で、表面は細胞膜で覆われており、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質などの物質を含んでいます。
▼生合成
エクソソームは、エンドソームと呼ばれる細胞内の小胞から形成されます。エンドソームの一部が内部に小さな小胞を作り、多胞体と呼ばれる構造体を作ります。多胞体が細胞膜と融合すると、内部の小胞がエクソソームとして細胞外に放出されます。
▼分布
エクソソームは、細胞外小胞の一種として、細胞間に存在するだけでなく、血液、尿、脳脊髄液などの体液にも存在し、体中を循環しています。私たちの体の中には、100兆個以上のエクソソームが体液中を流れていると考えられています。
▼機能
エクソソームは、細胞間のメッセンジャーの役割を担っています。エクソソームに含まれる核酸やタンパク質は、元々細胞内のDNAの中だけにしか存在しないとされてきましたが、実際には細胞外にも存在し、細胞間での情報交換に使われています。エクソソームによって送達される物質は、受容細胞の生物学的応答を効果的に変化させます。このようなエクソソーム媒介応答は、疾患の促進または抑制となり得ます。
▼応用
エクソソームは、細胞間の情報伝達に関与することから、バイオマーカーや治療法としての臨床応用に対する関心が高まっています。例えば、エクソソーム中のマイクロRNAを利用して肌を若返らせる治療や、正常な細胞のマイクロRNAを使用して薄毛や傷跡を修復する治療などが行われています 。また、エクソソームを使ってがん細胞やウイルス感染細胞を検出するリキッドバイオプシーや、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発などの研究も進められています 。